去る者は日々に疎し、本当です。

ひまわり
                            小岩井牧場のひまわり




ロサンゼルスに着いてすぐ、何も分からないわたしはあるパーティに招待された。

ホストだったご夫妻とその後も色んなパーティでご一緒になり、これからもっと

理解しあえると思った矢先、ご主人が事務所で倒れて帰らぬ人に。



次期インド大使の前評判もあった方で、大きな法律事務所のトップだった。

お別れ会はロサンゼルス郡立美術館で催され、弁護士になっている二人のお子さんの

スピーチもあり、故人の業績をたたえ、良き父であったと締めくくった。

まだ62歳、彼自身もこれからの人生を捨て、社会も大きな人を失った。



夫人とはお互いの夫が出張のとき食事を共にしたり、和風な飾り付けをしたからと

ランチにお招きしたりして楽しい時を過ごしたものだ。



ある日彼女に誘われてファッションショウに。

お洋服はそっちのけで、

「日本でも美容整形って流行っているでしょ?」

「ええ、でも芸能人だけでしょうね」

彼女は驚いていた。 アメリカではお金持ちもするものらしい。

「ほら、あそこのあの人。鼻を低くしたのよ」

わたしは高くした、の聞き間違いではないかと思った。



ユダヤ人などは大きな鼻が特徴で、気にしているらしい。

そこでダウンサイズにする。

胸だって大きすぎるのは垂れてくるわけで、小さくする リポサクション。

できれば鼻を高くしたいし、胸だってボンッと出せるものなら出してみたい。

広い世の中、反対の要求もあるのだと妙に感心。



背の高い彼女はパーティにはいつも黒いスーツを着ていた。

「黒だとカチッとした印象でいいわね」

「ニューヨークのパーティではみんな黒、黒一色だったのよ」と彼女。



わたしがLAの生活に慣れて忙しくなると、逆に彼女は社交界から姿を消した。

パーティが夫婦同伴のせいもあるが、色んな団体の役員をしていたご主人を失くし、

出る機会がなくなったのだ。



インドに駐在していた期間が長く、大のインドびいきで通だった。

ビバリーヒルズのお宅に伺うとお香が立ち込め、キャンドルが普通の家よりはずっと

多く揺らいでいた。



「去るものは日々に疎し」でわたしはどれだけたくさんのお知り合いを失ったことか。

海外で親しくなった場合はその後のお付き合いが難しい。

だからわたしは、生活をしていた場所を離れたときが、自分が死んだときだと思うのだ。

ちょっとの間寂しいと思ってもらえたとしても、すぐ忘れられてしまう。

そして何事もなかったように時計はまわる……。



会いたい人がいたら連絡を取りましょう。

まめに行動を起こすことで線は繋がってゆきます。







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いきなりの三行半にオロオロ

ビバリーヒルズ



抜けるような青空、パームツリーの並木。

いかにもロサンゼルス!!

でも、でも、わたしが住んでいたころは青い空の日はめったになかった。



道路から家が見えるところはわりと庶民的なほう。

ビバリーヒルズも奥のほうへ行くと前庭もこんもりと茂って、玄関もよく見えない。

今日のお話の主人公は写真のような親しみやすい家に住んでいたブリッジ仲間。




シンディは大柄で陽気で、4人の子だくさんのママ。

上のお嬢さんが大学生になり他州へ行ったばかりのころ。




あるブリッジの日に彼女が泣く泣く語るには、ご主人から一方的に離婚されたと。

彼女には一切思い当たることはないという。

ティシュで鼻をかみながら話すシンディに私たち3人が質問攻め。

「そんなのおかしいわよ」

「そうよ、なんとかやっつけられないの?」

他人事として離婚についての話題は今までにも出ていたので、結論に迫るのは早い。

「無理よ、だってあの人は弁護士よ」

そうだった、みんなこのときその事実を思い出したのだった。

弁護士夫人のジュディが黙っているということは、もう結論は出ていたも同じ。




ブリッジ仲間の5人の中で少し太めでオシャレにあまり関心を払わなかったシンディ。

4人の子供たちのママであるということは車での送迎で明け暮れ、学校関係で多忙

だったことだろう。

いきなり離婚を宣告されたほど、成り行きに気がつかなかったほどママ業に専念して

いたのだ。

相手は用意周到に違いない。




ブリッジはそっちのけで身の上相談に終わったこの日。

事後報告ではあったが、みんな胸に手を置いて考えさせられた日だった。





ビバリーヒルズの豪邸に住むルイーズ

にルイーズの家
                    imaged by Web site




ブリッジ仲間のルイーズについて。

彼女の家は豪華だった。

けれどもカメラを持っていって写真を撮るようなことはできなかった。

上の写真とよく似ているが、もっと広くて高く、奥行きもあって大きかった。

窓枠も黒くはなかったと付け加えておく。 (雰囲気だけをお借りして)



ルイーズの家族は不動産会社経営のご主人と3人の子供。

初めて訪問した日は、車寄せのある玄関にちょっぴり興奮した。

大きなドアから入るとまっすぐ向こうに見えるプール。

サンクン リビングへは4段くらいのステップを降りる。

壁は、石灰石で作られた石組みのように見せかけて、薄く描かれていた。

                    (これも一種のトランプロイル?)

まるでエジプトの石壁のようで、明るい部屋である。



左手にあるホームバーの後ろ壁は水槽。

ゆらゆらと熱帯魚たちが遊んでいた。



寝室に入ると、一見なにも家具がない、と思った。

ところがボタン一つでいろんなものが壁から出てくる仕組み。



バスルームは広く、大きなソファでテレビも新聞も本も、、、、、お茶も楽しめる。



地下室はプレイルーム。

バスケットの駕籠が設置され、ビリヤードのセットが。

そしてカウンターの向こうは アイスクリーム店

ご主人の夢で、家を建てるなら……だったよう。



客用の食事室には12人掛けのテーブル。 (記憶が定かではないが)

ひとつの壁が殺風景に空いたまま。

インテリア デザイナー に頼んで日本の屏風が入るのを待っているのだとか。

半年に一度、デザイナーが来て、家中をチェックするという。



まだまだ書きたいことはたくさんあるが、長くなるのでこのあたりで、、、、



地域社会への貢献度も高いルイーズについてはまた今度。






騙し絵があるケリーの家

魔法使いの家2無題
           魔法使いの家  芸術作品だと思いません?




写真はビバリーヒルズにある、その名も "The Witches House"。

ちょうど角地にあるので人目につきやすく、最初に見たときは驚いた。

施主も茶目っ気があるが、建築家の楽しかった思いを想像すると羨ましい。

ハローウイーンの頃はライトアップの効果もあって、話題の場所である。

この近くにブリッジ仲間のケリーの家はあった。




ケリーは仲間5人の中でいちばん若い。

家は小さいというと語弊があるかもしれないので、可愛いと表現すればピッタリ?

ビバリーヒルズには大きな大邸宅というよりは、通りから玄関ドアが見える家が多い。

通りから樹木に囲まれた高い塀に囲まれたような家はベル・エアーに。

その意味ではケリーの家は典型的なビバリーヒルズの家である。



面白く印象的だったのはプールサイドにあるシャワー室の壁のトロンプロイル

騙し絵のことで、実物そっくりに描き、目の前に実在するかのような錯覚を与える絵。

壁に大きな壺が描かれていて、まるで壁に木製の棚があって壺が置かれているよう。

ちなみにペインターには10万円払ったのだとか。

ペインターは引っ張り凧で何ヶ月も待たされたといっていた。



ある日、ブリッジの最中にケリーのママがやってきた。

テニスの帰りでテニスウエアのまま。

貫禄充分のマダムで、リフトアップした顔は年齢不詳。

そのビッグママの前では、わたしたちはまるでひよっこ扱いだった。



年齢を重ねたときに、若いレディたちをバシッと抑えられるくらいの貫禄を持ちたい
ものですわね。

本当の意味でお手本にならなくちゃ!




モデルのようなジュディ

ブリッジDSC00317
       コントラクトブリッジのボード



ブリッジ仲間のビバリーヒルズ マダムをご紹介。
 
まずはジュディから。

背がすらりと高く、従って脚は長い、ブルネット美人。

スカートを穿いていたことはなく、見ただけでもおしゃれな感じ。

家は西海岸風の窓の大きな明るい家でもなく、スペイン風の可愛い家でもない。

かといって南部風のどっしりとしたクラッシックでもない、モダンでもない。

一歩中に入ると、暗いという第一印象。

インテリアスタイルが○○だと決め付けられない。

日本人の家も純日本家屋でもない、和風でも洋風でもない家が多いように……。

ジュディの家もない、ない尽くし、でも不思議と落ち着いた雰囲気が素敵だった。




ブリッジをプレイする間はみんな真剣。

一つのボードが終わると反省会。

一番話に花が咲くのがコーヒーブレイク。

手作りお菓子でのおもてなし。

持ち回りで順に家を訪ねるわけで、各家でご自慢のものが披露される。

みんなティーンネージャーのママだから、ケーキ作りはお手の物。

アメリカのお菓子は甘いのが相場だが、このグループのは違う。

美容に気を遣うマダムたちは糖分を取り過ぎない。

コーヒーもブラックか、もしくは持参のシュガーをカットしたものを。



トランプ3点DSC00318
          アンティークのカード



ジュディには高校生の女の子が一人。

娘の友人の父親はハリウッド映画の有名なプロデューサー。

その友人にプーケット島へと誘われ、プライベートジェット機で出かけた夏休み。

そのときに同行したのが、トム・クルーズ夫妻だった。

1990年代の後半、彼のワイフが誰だったかもう忘れてしまったが、そのころは
みんな眼を輝かせて話に聞き入った。



映画のプロデューサーは俳優にとって大事な存在で、あるプロデューサーの基金集めの
パーティにはスターが挙って参加する。

   参照:カテゴリー、ロサンゼルスの「最も印象的で華やかなパーティ」に


ある日、ジュディと中華料理店で偶然出会ったが、やっぱり目立って美しかった。





ブリッジがご縁で、 

ビバリーヒルズ2beverlyhills


コントラクト ブリッジというゲームがある。


きちんと授業を受けたほうがいいと、近くのビバリーヒルズ ハイスクールへ。

アダルトスクールといって、教室を貸して社会人に開放している。

          (ここではカリグラフィーやデッサンのクラスも取った)

初心者のクラスを取って実践の少ないまま、何年かして次は中級のクラスに。



20人足らずの生徒。 

年齢は中年から高年までの男女。

同じテーブルで仲良し4人組といった感じのグループと一緒になった。

「もしお時間があったら、わたしたちとご一緒にプレイしません?」とのお誘い。



4人でするゲームだから、仲間が4人しかいないと確かに支障をきたす。

名前と電話番号の交換が始まり、みなさん、ビバリーヒルズにお住まいと知る。

ビバリーヒルズのマダムたち、、、、、内心ワクワク!

インテリアをじっくりと見せてもらえる……。



毎週一回のペースで、各自の家を持回りで始まった。

みなさん、遅れてくるには百もの言い訳があるのに、帰る時間はきっちり。

高校生の子供たちがいるママで、学校関係で知り合ったお仲間のよう。

ゲームよりはお喋りの時間のほうが長く、時には人生相談のような日もあった。

途中で人数合せのため二人のマダムが加わったりもしたが、最初のメンバーが
核で続いた。



一人ひとりの個性的なエピソードはこれから書いていくつもり。

まずはプロローグでした。





ビバリーヒルズ マダム

ビバリーヒルズの看板
      

ビバリーヒルズと聞くだけで十人十色の像が浮かぶのでは?

ここにある家々は道路から facade(建物の正面)の全体が見え、奥行きが深く、
後ろには広いバックヤードがある。

ブリッジ仲間がビバリーヒルズのマダムたちだったので楽しい経験をした。

親しくしていたルイーズは小柄で身長はわたしと同じ。
けれども見かけは全然違う。 プロポーションが、ね。

不動産会社の社長夫人で、専業主婦。
子供は3人。

寝室にあるバスルームが凄かった。

  15、6畳くらいの広さにバスタブとシャワールーム。
  大きなソファがTVを観るために置いてある。
  
地下には、

  ビリヤードの台や バスケット ボール のネット籠。
  なんといっても驚いたのがアイスクリームの店が……。
  ご主人の幼い頃からの夢で、カウンターつきの本物のアイスクリーム店に
  そっくりの設備がある。

家の中には階段が二箇所あり、一つは台所に直結する。
メイドの動線を考慮したものらしい。

ブリッジの集合時間には、マダムたちはいろんな理由があって遅刻するが、
解散の時刻はきっちりと守る。

みなさん専業主婦に徹していて、子育ての手は抜かなかった。

ルイーズはPTAの役員をし、地域の活動にも積極的に参加している。

人生を閉じるときに牧師さまから「立派な婦人でした」といわれるのが最高の
名誉だと思っていると。

「今度マリブの別荘でプレイしましょう」

「そろそろリフトアップ(美容整形)をしなくちゃねぇ」
 
「ちょっと待って、その日はネイルの日なのよ……」

いまでもこういった会話が耳に残っている。



プロフィール

白秋マダム

Author:白秋マダム
 
海外生活17年間の思い出と、
時事雑感、日々の暮しについて
エッセイを書いています。

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