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インドネシアのイブは貫禄充分

flame tree
        火焔樹 flame tree


1984年2月、ジャカルタに住むことに。

車が着いた先は……、想像と現実のギャップに愕然とした。

運転手と女中が2人もいて、門構えに高い塀のある家だと聞いていた。
だれが日本の普通の、自分の家より shabby な家を想い描くものか。

それでなくても、モアモアと暑い国である、夢は一気にしぼんでしまった。

半年近く先に赴任していた夫は身体がすっかり夏向きになっていた。
わたしたちが扇風機をつけると寒いと言って譲らない。
  
寝苦しい夜は腹立たしくさえなってくる。
夏祭りでもらった団扇、しかも1本を娘と3人で取り合う。

団扇に書かれていた「祭り」の字が恨めしく思えた、「なにも楽しくなんか
ないわよ」と。
やがて、あおぎ過ぎた団扇は見るも無残に骨まで見える状態になってゆく……。

そして1年が過ぎ、家の契約更新の時期が来た。

雨漏りは10箇所にも及ぶ、大きな鼠は出る、貯水槽を覗いて卒倒しそうになる。
よかったのは庭に大きな火焔樹があったことぐらい。

絶対に引っ越す、とうぜんよ!
この勢いでいたが、会社はこのまま、、、と言ってくる。

3年契約で、全額一括払い。
それなら改善してもらう条件を呑んでもらいましょう。

やってきた大家さんはイブ。
お母さんという意味のほかに、どっしり構えた小母さんのニュアンスもある。

女中たちはイブの貫禄にオタオタ。
大きな地声で話すイブはわたしよりは10歳くらい上であろうか。

意気込みだけは充分のわたしだったが、なにぶん会話ができない。
たぶん幼稚園生のようなものだったのではないか。

動じないイブの前で、不覚にも涙がこぼれた。

「なぁに、このニョニャ(奥さん)は子供みたいに泣いて」と笑う。

そうだ、敵はイブではない、会社だ、夫だと悟る。

かくしてめでたく、わたしの家探しが始まるのである。 
                        ―つづく―  
 
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白秋マダム

Author:白秋マダム
 
海外生活17年間の思い出と、
時事雑感、日々の暮しについて
エッセイを書いています。

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